セミナー参加・犬のボディーランゲージ講座 初級

2023年10月28日土曜日

犬とお出かけ(埼玉) 犬に関するお勉強

今日はドッグビヘイビアリスト田中雅織先生のセミナーに参加するため、その会場となっている埼玉県越谷市の「犬の幼稚園&サロンるー。越谷校」にやってきました。

埼玉でのセミナーは今回で5回目の参加。田中雅織先生のセミナーは10回目となります。

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今回のセミナーは「犬のボディーランゲージ講座」の初級・中級・上級のうち、最初のテーマである「Ⅰ.ボディーランゲージ初級・犬たちの会話を知る」に参加してきました。

今回の会場も「犬の幼稚園&サロンるー。」の越谷校で、東武伊勢崎線の北越谷駅から徒歩で数分の場所にあります。

周辺には何ヵ所かコインパーキングがあり、今回も最大料金800円(24時間)のパーキングを利用しました。

10時半から受付開始。
先に受付を済ませて、二階のセミナー会場へ。田中雅織先生が準備をされていました。

セミナー会場に荷物を置いて、トイレを兼ねて少し周辺をお散歩しました。

予定通り、午前11時ちょうどにセミナー開始。

チャッピーとクロエも、とりあえず大人しく着席してくれました。

午前中は主にボディーランゲージの基礎的な話で、犬の進化の過程とその過程の中で獲得したコミュニケーション能力についてのお話でした。

そして、昼食タイム。今回もボリュームがあって美味しいお弁当でした。

後半は、カーミングシグナルの例を写真を見ながら説明していただいたり、動物行動学から見たシグナルについてイラストをもとに説明していただきました。

また、YouTubeの動画や先生自身が撮影した動画をもとに、犬のシグナルを実際の動きの中で説明していただきました。
ちなみに、チャッピーとクロエは動画の再生中に犬の声に反応してしまい、だいぶ興奮してしまいました。

最後のワークショップでは、参加者の犬同士で挨拶などをさせ、その動画を撮影し、ボディーランゲージを読む練習を実演していただきました。

今回も予定を1時間ほどオーバーしましたが、とても充実した内容でした。

以下、今回のセミナーについての感想です。(あくまで僕自身の解釈によるものです。)
また、他の関連ブログも参考にしてください。

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今回のセミナーは「犬のボディーランゲージ講座」の初級編で、「Ⅰ.ボディーランゲージ初級・犬たちの会話を知る」というテーマ。
このテーマの副題にもなっていますが、「犬たちとより良い関係を築くために」、犬のボディーランゲージを通して、飼い主ができることは何かを学ぶ内容となっていました。

まずは、ボディーランゲージというものについて、カラスがリスをからかっている場面で、人間の女の子と老人の行動の違いを例にして説明をしていただきました。
ここで教えていただいたのは、人間も知らず知らずのうちにボディーランゲージを使っていること、ボディーランゲージは人間にも他の動物にも共通して伝わるものもあるということでした。

そして、この人間にも他の動物にも共通して伝わるボディーランゲージは「ユニバーサルサイン」というそうです。例として「手のひらを前に向ける」という動作は、「止まれ」という意味の人間にも犬にも伝わるサインとして紹介して頂きました。

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【進化とコミュニケーション】

ボディーランゲージの基礎として、犬の進化の過程とその過程の中で獲得したコミュニケーション能力についてのお話。

犬の先祖はトマークタス(Tomarctus)という動物で、1500万年前には地球上に生息していたそうです。そして、700万年前にはオオカミ(Canis Lupus)が登場し、犬は4万年~1万5000年前には生息していたそうです。
いずれにしても、人間よりもはるかに大先輩だということになります。

犬の学名は「Canis Lupus Familiaris」と言い、Familiarisは「人間の家庭に属する」という意味だそうです。
この学名から見ても、犬は古くから人間の身近にいる存在だということが分かります。

犬の先祖であるトマークタスの頃から、群れで生活する社会的動物(Social Animals)だったようです。
1500万年前にトマークタスがどういう理由から群れで生活するようになったのか分かりませんが、群れで生活するようになったことで、他の動物種との関係性や生き残り戦略として有効だったこと、より良い遺伝子を残して進化し、環境の変化に適応できるようになったことが、結果として絶滅することなく、オオカミや犬へと進化を繋げていったのだろうと思います。

人間も群れで生活する社会的動物。有史以前から犬とともに暮らしているので、何となく犬の表情が分かるようになっています。
犬はオオカミよりも目の周りの表情筋が発達していて、それが顔の表情を作り出しているそうです。人間が犬とともに暮らす中で、表情の分かりやすい個体を選択的に繁殖させた結果とも考えられているようです。

自然環境の変化の中で、自らの行動を変化させて環境に適応することを「適応度」と言いますが、哺乳類は動物の中でも適応度が高く、その中でもオオカミや犬は特に適応度が高いそうです。
さらに、オオカミや犬は学習能力も高く、被毛や皮膚、内蔵だけでなく、行動の形態も変化させて、生息する環境にうまく適応して、現在まで生き残ったとのことです。

この項の最後に、二匹のオオカミのやり取りの様子を表したイラストを用いて、この二匹はどういった関係か?どのような会話をしているのか?を考えてみましょう、という例題が出されました。
イラストは、一方のオオカミが耳を後ろに倒し、頭を低くして近づいていき、相手の口元に自分の口元を寄せる様子を描いたものでした。

この答えはひとつではないという前提で、田中雅織先生の解釈を説明していただきました。先生の解釈では、次のように見えたとのことでした。
  • 二匹のオオカミは親子。
  • 子のオオカミが穏やかに接近しようとする様子が見られる。
  • 口元を近づけて挨拶している。挨拶は親子の絆の確認として。
  • 親のオオカミは顔を横にそらしている。迷惑そうにしていて、しつこく続けると叱る可能性も。群れの中の立場として、周囲を警戒しているようにも見える。

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【カーミングシグナル】

カーミングシグナルは、ノルウェーの動物学者であるトゥーリッド・ルーガス女史が提唱したもので、日本語では「なだめ行動」と翻訳されます。
カーミングシグナルに関する研究は1980年代から始まり、1996年には初版が発表されました。日本語訳が発行されたのは、13年後の2009年とのことなので、日本はやはりペット後進国なんだなと感じてしまいます。

まずは書籍の引用をもとに、カーミングシグナルについて説明していただきました。
オオカミは基本的に争いを避ける動物であり、群れの仲間達をなだめる時に使うカットオフシグナルという行動が既に確認されているが、犬もその行動を受け継いでいる。さらにカットオフシグナルのカットオフ(Cut-off)とはその名の通り、現在行っている行動を止めさせる行動であり、その他のシグナルには自他の落ち着きを促したり、遊びに誘ったりする意味がある。---カーミングシグナル(トゥーリッド・ルーガス著)より引用。

ここで注意するポイントは、カットオフシグナルを正しく理解することにあります。
カットオフシグナルというのは、「現在の行動を中断して他の行動をしなさい」という意味で「中断の合図」を伝えることであり、「吠えているのを叱ったり叩いたりして止めさせる、ボール遊びをやめないので強引に奪い取る」といったものはカットオフシグナルではないということです。
また、カットオフシグナルもカーミングシグナルも、あくまで犬のシグナルなので、犬が理解できるシグナルとして見なければなりません。

以降は、写真を見ながら様々なカーミングシグナルの例を紹介していただきました。

顔の向きを変える
  → 落ち着いて欲しい/不快だ
目を反らす
  → 敵意はないよ
体の向きを変える
  → 少し落ち着こう
鼻を舐める
  → 落ち着いて/ちょっと不快だ
座る
  →不安/落ち着いて
プレイ・バウ
  →遊ぼうよ/安心してね
あくび
  →不快ストレスを感じている/(他者に対して)リラックスしようよ
カーブを描いて歩く
  →怖がらないで
ゆっくりと歩く、ゆっくりとした動作
  →怖がらないでいいよ/落ち着いて
固まる
  →自分は怖い相手ではないよ
間に割って入る
  →止め!/落ち着こうよ
尻尾を振る
  →怒らないで/(広義の意味では)興奮している
子犬のように振る舞う
  →怖い存在ではないよ/落ち着いて
まばたきする
  →(少しでも動いたら襲われそうな時)怖い存在ではないよ/落ち着いて

こうして見てみると、違う行動でも似たような意味のシグナルが多々ありました。その時の状況もふまえて、文脈でシグナルを解釈することが肝要だと感じました。

また、これらの中には人間も犬に対して使えるシグナルもあり、犬のシグナルを読み取るだけでなく、犬に対して伝える手段としてもカーミングシグナルが利用できるということですね。

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【動物行動学から学ぶシグナル】

この項では、動物行動学をもとにした犬のシグナルについて、イラストを使って説明していただきました。

ここでのシグナルというのは、カーミングシグナルとは異なり、優位性・攻撃性・劣位性・不安・ニュートラル(中立)といった状態を示す時に見られる身体の特徴(姿勢、表情、視線、耳の向き、尾の状態など)に着目したものになっています。

例えば、優位性や攻撃性を示すシグナルとしては、以下のような特徴が見られます。
  • 対象を凝視する。
  • 頭が高く持ち上がる。
  • 尾が立って硬直する。
  • 背中が真っ直ぐになる。
  • 鼻にしわが寄る。
  • 歯と歯茎を見せる。
  • 耳が前方向に向く。
  • 等々

攻撃性を示すシグナルは現実にはあまり見られないそうです。特に未去勢のオス同士の場合、殺し合いになるほど危険な状態だそうで、ほとんどの場合は一方の犬が全力で逃げるそうです。

劣位性と不安を示すシグナルとしては、以下のような特徴が見られます。
  • 耳を横や後ろに倒す。
  • 口が硬く閉じる。
  • 背中が丸くなる。
  • 後傾姿勢。
  • 尾が下がって畳まれる。
  • 等々

これらの優位性と攻撃性、劣位性と不安のシグナルは、それぞれ増大するにしたがって示すシグナルの特徴が顕著に現れるようになります。

また、一見すると同じように見える「歯茎を見せて唸って吠える」動作であっても、それが攻撃性を示すものなのか、不安を示すものなのか、イラストで比較すると分かりやすく理解することができました。

このイラストで示された「歯茎を見せて唸って吠える」動作も、ほとんどの場合が不安を示しているケースだそうです。そのシグナルをきちんと読み取れるようになれば、犬に対する恐怖心や誤解も少しは減るのではないかと思います。

また、ニュートラル(中立)を示すシグナルの特徴を教えていただきました。
  • リラックスした姿勢
  • 尾が垂れる/水平
  • 尾を緩く振る
  • 目がアーモンド型
  • 柔らかい表情
  • 等々

次に、犬の様々なシグナルを読み取る練習の題材として、YouTubeの動画が参考になるということで、いくつか紹介していただきました。


また、こちらの動画では、若いダルメシアンと周りの犬とのやり取りを見ながら、それぞれの犬がどのようなボディーランゲージで会話をしているのか、カットオフシグナルをどのようにやっているのかを説明していただきました。

動画を見てみると、実際の動きの中で見られるボディーランゲージはほんの一瞬で、説明を聞きながら観察しないと分からないほどでした。動画だと同じ場面を何度も再生したり、スロー再生もできるので、ボディーランゲージを読む練習としては、確かに良いツールだと思いました。

田中雅織先生がご自身で撮影された愛犬たちの動画を使った説明も分かりやすかったです。特にスマホを顔に近づけた時の顔を逸らすシーンで、顔を逸らす方向によって意味が違うことを知りました。
右に顔を逸らした時はポジティブな意味で、左の場合はネガティブな意味だということで、あらためて先ほどのシーンを見てみると、どの犬も左へ顔を逸らしていて、スマホを近づけることが迷惑に感じていることが分かりました。
顔を逸らす前にまばたきしている様子も見られ、とても参考になりました。

また、ボディーランゲージにも方言のような訛りがあるそうです。例えば、鼻を舐める動作も必ず二回舐める個体があるそうです。
全ての犬が同じボディーランゲージをするわけではなく、訛りといった個体差もあることを念頭において、よく観察する必要があるということですね。

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【ワークショップ】

最後のワークショップでは、動画を撮影して、ボディーランゲージを読む練習を実演していただきました。

まず、参加者の中から二匹の犬を選び、犬同士で挨拶などをさせて、その動画を撮影しました。
そして、撮影した動画をその場で再生して、どのようなボディーランゲージが見られたか説明していただきました。

撮影時間は10分ほどだったと思いますが、その短い時間のやり取りでも、多くのボディーランゲージが見られました。

ボディーランゲージを読む時のポイントを最後に教えていただきました。
一つ目は、目、耳、口元、額などの表情をよく観察すること。二つ目は、姿勢、動き、体勢などの仕草をよく観察すること。そして三つ目は、行動が起こるまでの流れと結果、いわゆる文脈をよく観察すること。

これら三つのポイントを頭に入れて観察することが、ボディーランゲージを読む時のポイントとなります。

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【エピローグ】

犬も高齢になると、目も耳も次第に衰え、ボディーランゲージで表現することもだんだん難しくなってくるそうです。

それでも、犬がいま何を考えているのか、何を求めているのか、それを分かってあげられるのは飼い主だけです。

だからこそ、犬の気持ちに寄り添い、絆を深め、最後までしっかりと看取るためにも、日頃から犬と触れ合い、少しでも犬の気持ちを読み取れるようにしていきたいと思いました。

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今回のセミナーのまとめは以上です。


犬の幼稚園&サロン るー。(越谷校)
住所 埼玉県越谷市北越谷4-23-9-1
電話番号 048-945-9009
受付時間 9:00~18:00
定休日 毎週火曜日

※掲載時の情報のため、ホームページや電話にて最新情報を確認してください。

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