今日はドッグビヘイビアリスト田中雅織先生のセミナーに参加するため、その会場となっている埼玉県吉川市の「犬の幼稚園&サロンるー。吉川美南校」にやってきました。
埼玉でのセミナーは今回で2回目の参加。田中雅織先生のセミナーは7回目となりますが、今回のテーマ「信頼される飼い主になる」は初めてとなります。
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前回と同じ駐車場は満車だったので、別のコインパーキングを利用しました。料金は前払い制の24時間300円で前回と変わらず。
無事に受付を済ませて会場内へ。
今回は向かって右側の一番前に席を取りました。
まだ他に犬がいなかったので、チャッピーもクロエも落ち着いていました。
その後、他の犬が続々と入ってきて緊張している様子に。
予定より少し遅れて、11時10分くらいにセミナー開始。皆さん真剣に話を聞いていました。
この埼玉セミナーはリモート参加も兼ねていて、前回は通信状態が不安定になり中断することが多かったですが、今回は終始安定しているようでした。
写真を撮り忘れましたが、昼食のお弁当はとても豪華で美味しかったです。(昼食代:1,700円)
今回はチャッピーもクロエも他の犬に対して興奮してしまうことが多く見られました。その都度、熊谷トレーナーにサポートしていただき、セミナーに集中しやすい環境を作ってくださいました。
今回のセミナーも適宜休憩を取りながら、11時から17時まで予定通りに行なわれました。
今回のテーマは我が家にとって初めてでしたが、犬の目線に立って関係性を築くことの大切さを学べたテーマでした。
セミナー題目:信頼される飼い主になる
1.好かれる犬への接し方
・知らないうちに嫌われている?
・こんな接し方はNG
・ハートをつかむ接し方
2.犬が好きなことを知る
・犬が求めていること
・犬が嫌うものを知る
・シチュエーションによっても変わる好き嫌い
3.愛犬のヒーローになる!
・犬の願いを叶える
・おねだりへの対処法
・犬の気持ちを読み取り、不安から救う
4.質疑応答
以下、今回のセミナーについての感想です。(あくまで僕自身の解釈によるものですので、間違っている部分もあると思います。)
また、他の関連ブログも参考にしてください。
第一章 好かれる犬への接し方
犬という動物はヒトとは違うので、犬の目線に立って接することが必要。
犬の目線というのは、ひとつは文字通り目線の高さといった犬自身の体のサイズから見た世界、ヒトや他の動物がどのように見えているかという外部の環境的な側面。そして、もうひとつは犬の習性、心、気持ちといった内面的な側面を意味しているようです。
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ヒトが犬と接する上で大切なこととして、ヴィベケリーセ先生の言葉を紹介していただきました。
犬から尊敬を得たいのなら、まずは犬に敬意を持ってください。
あなたの犬の行動を変えたいのなら、あなたの行動を変えることが先です。
まず、一つ目の言葉。ヒトは有史以前から犬と共生してきた歴史があり、犬が共生してくれたおかげで人類が地球上で繁栄したとも言えます。そう考えると、ヒトが犬に対して敬意を持つことは、ごく自然なことなのだと思います。
ちなみに、ヒトの指差し(心理学で言うところの「共同注意」)を認識できるのは犬だけで、オオカミやサルでさえ認識できないとのこと。こうしたことからもヒトと犬との関わりの深さが感じられますね。
なお、麻布大学の菊水先生によると、指差しや人の視線に対しては大型犬の方が敏感で、小型犬はあまり得意ではないとのこと。行動の種類も小型犬の方が少ないそうで、大型犬のボディランゲージが小型犬に伝わらないこともあるそうです。
二つ目の言葉。犬の行動の要因としては、遺伝的資質や過去の経験(強化履歴)、周囲の環境や状況といったものがあります。そのため、飼い主の行動も環境要因として大きく影響するとのこと。
ドッグトレーニングは飼い主のトレーニングという要素も大きいわけで、まずは飼い主が自分自身を見つめ直す必要があるということですね。
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私達が犬とどのように接しているかチェック項目を紹介していただきました。毎日散歩しているか?指示は通るか?制御困難になることはあるか?日々落ち着いて過ごしているか?など。
先生の話では、以前は散歩をしない人が多かったが、最近はきちんと散歩する人が増えてきたそうです。散歩中に犬が引っ張ることについては、よほどひどい状態でなければ、引っ張るのも若いうちだけなので大目に見ても良いようです。
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犬が嫌う行動として、つい飼い主がやってしまうことを紹介していただきました。その中で我が家もやってしまうことがいくつかありました。以下、一部だけ紹介します。
つい、名前を呼んで叱っている。→多頭飼いでも名前で叱らない方がよいそうです。のび太やカツオも名前で叱られているので、つい名前で叱ってしまいますね。
つい、大声で叱ってしまう。→夕飯時にチャッピーの要求吠えがしつこい時があり、つい大声で叱ってしまう時があります。しかし、大声で叱っても(罰を与えても)、行動が変わらないとのことでした。
つい、じーっと目を見つめてしまう。→我が家はしないですが、犬は人に助けを求める時は、犬の方からアイコンタクトしてくるそうです。それは飼い主であっても知らないヒトであっても、最終的にはアイコンタクトをするとのこと。
つい、コマンドを何回も言ってしまう。→これは飼い主あるあるですね。我が家もそうです。
第一章 好かれる犬への接し方
<知らないうちに嫌われている?>
イラストを使って、犬が嫌う行動を紹介していただきました。最後の方には犬が喜ぶ行動も。
このイラストは犬のボディランゲージも上手に表現されているそうで、とてもよくできたイラストだそうです。
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まず、犬が嫌う行動としては、犬に覆いかぶさるような姿勢で、手を出したり頭をなでたりすること。
覆いかぶさるような姿勢は、体高の低い犬から見ると好ましくないということですね。
また、ヒトの手というのは犬にとって口(くち)だと認識している可能性もあるようで、口が顔や頭に近づいてくると考えたら、それは犬にとって好ましくないことになりますね。
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捕まえたり抱きしめたりすることも犬は嫌いだそうです。
サルが抱っこして子育てするのと同じように、ヒトも抱っこすることが愛情表現だったり、守ることだったりしますが、犬は生物学的に抱っこされることが嫌いなのだそうです。
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他にも、可愛いからといって目をじっと見つめたり、大声で「きゃーかわいいー」と言ったり、顔を押さえつけてキスをするなどの行為も、犬にとっては迷惑なこととして紹介していただきました。
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一方、犬が好む行動としては、犬の目をじっと見ない、犬の方から近づいてくるのを待つ、犬に対して正面を向かず敵意を表さないようにする、といったことがあります。これらはヒトから見ると素っ気ない態度のようにも感じられますが、これが犬にとっては好ましいということですね。
また、犬を撫でる時は、顔や体の側面もしくは背中をやさしくゆっくり撫でると良いそうです。
第一章 好かれる犬への接し方
<こんな接し方はNG>
ここからは写真を使って、接し方のNGを紹介していただきました。前節と重複する部分もありましたが、いくつか気になった項目を整理したいと思います。
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散歩の時に匂いを嗅がせない。
匂いを嗅ぐという行為は犬の本能なので、これを妨げてはいけない。特に初めての場所では、犬はしっかりと匂いを嗅ぐことで様々な情報収集をしています。
それは人間に例えると、初めて訪れた場所を目で見渡して確認するのと同じことなのだそうです。
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ルールが無い。
ヒトも家族と暮らす中で色々なルールがあるように、犬もヒトと暮らす上ではルールは必要。ヒトと犬がお互いに尊重し合い、信頼関係を築きながらルールを決めていくことが大切。
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オールドスクールな訓練方式。
古くから続いている罰による訓練や躾けは効果がないどころか、犬に対して様々な悪影響を与えてしまう。
罰によって何かを伝えようとしても、犬は何がダメな行動なのか分からず、次第に行動の種類が減り、無力化してしまうことにもなりかねません。
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衣装を着せられる。
これは我が家もよくやってしまうことですが、機能的な服であれば構わないそうですが、過度に衣装を着せることは控えめにしましょうとのことでした。
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放置されている。
犬はヒトと同じく集団で暮らす社会的動物なので留守番は苦手。ヨーロッパでは6時間以上の留守番が禁止されているほどですが、日本の社会の現状では難しい。
最悪の場合、分離不安といった精神障害を引き起こす可能性もあるため、それを予防するためにも日頃からべったりと触れ合わないことが大切です。
最近はコロナ禍で在宅ワークが増えたことで触れ合う時間も増え、分離不安の相談が増えているそうです。
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不快な状況に晒す。
例えば掃除機が嫌いな犬がいるように、日々の生活の中で不快な状況は作らないように気をつける。掃除機や玄関のチャイムなど生活上必要なことについては、犬が克服できるようにトレーニングをするなど対処が必要です。
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やたらとネガティブ。
飼い主がネガティブな感情を持っていると、犬もネガティブになりやすいとのこと。日常の飼い主の振る舞いや感情などは犬にも影響するようです。日頃からネガティブな言葉を使わないように心掛けることも大切だそうです。
第一章 好かれる犬への接し方
<ハートをつかむ接し方>
飼い主として、犬のハートを掴む接し方について説明していただきました。
まず一つ目は、犬の嫌がることはせずに苦手なものを克服する手助けをすること。
実際に苦手なものを克服して問題行動を無くしていくには、その問題行動の原因などを明らかにするための「機能的アセスメント」という手続きを行ないます。
その際に、どういった状況で(A:状況)、どのような行動が起こり(B:行動)、どのような結果が伴ったか,どのように環境が変化したか(C:結果)、という三項随伴性で問題行動を捉えていきます。
原因となる状況が明らかになったら、その状況を反応の強さに応じて段階的に分けて、不安階層表として整理します。例えば、他犬に対して興奮するのであれば、他犬との距離を50mから1mの間で反応の変化に応じて段階的に分けて、その段階ごとにトレーニングをして克服していくことになります。
そして、この時のトレーニングとして利用されるのが、系統的脱感作や拮抗条件付けといった行動療法になります。
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二つ目は、ヒトと犬がお互いにパーソナルスペースを尊重し合うということ。
例えば、犬が寝ている時に触ったり、押しのけたりしない。その逆も同様で、ヒトの方も不快に感じる時は犬に離れてもらうようにする。このような距離の取り方は犬同士では普通のことだそうです。そのため、ヒトも犬に対して過度に触れ合おうとしたりせず、適度な距離を保つことが大切なようです。
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三つ目は散歩のこと。散歩は毎日行なうこと、そして散歩時の匂い嗅ぎや運動がとても大切。
散歩での運動は有酸素運動で十分だそうで、激しい運動は逆にストレスになるとのこと。運動時に分泌されるホルモンの種類を紹介しながら説明していただきました。
激しい運動(無酸素運動)を長く続けると、ストレスホルモンと呼ばれているコルチゾールが体内から分泌されるそうです。コルチゾールの分泌はストレスから身を守ろうとしている現象ですが、ストレスから解放されれば一週間ほどで無くなっていくそうです。しかし、過度な運動を長く続けていくとコルチゾールが体内に分泌され続けることになるため、やがて身体の不調を招くことになってしまうそうです。
その他にも、ランナーズハイを例にしてドーパミン(快感)とエンドルフィン(鎮痛)の影響についても説明していただきました。
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四つ目は、生活の中のルールを教えるということ。
ヒトと一緒に生活することになるため、人間社会のルール、家庭内のルールをしっかりと犬にも教えないといけません。ただし、教える時は楽しみながら教えること。罰を用いた教え方はしないことです。
ヒトと違って言葉で教えることができないので、望ましい行動に誘導していくような教え方になります。その際にはトリーツなどの報酬を活用し、一貫性をもって条件付けを行なうことが必要です。
一貫性というのは、家族全員で(場合によっては家族以外の人も)足並みを揃えて、犬に対して同じ対応をするということです。
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五つ目は、怖がる状況に晒すのではなく、助けるということ。
例えば、散歩時に他犬とのすれ違いで興奮してしまうのであれば、十分に距離を取ったり、別ルートに導いて回避するなど。
しかし、回避してばかりでは困るので、克服していく努力も必要。飼い主とコミュニケーションを深めていき、飼い主と犬が協力し合ってトレーニングをし、克服していくことが大切です。
第二章 犬が好きなことを知る
<犬が求めていること>
犬が求めていることを理解するのに、ピラミッド型の欲求階層という図を用いて説明していただきました。
この欲求階層は、下から、①生命の安全、②飲食、③健康管理、④睡眠と休息、⑤運動、⑥探索活動、⑦縄張り活動となっていて、下の階層が満たされないと、その上の階層の行動が起きないという見方になります。
これらの欲求が満たされていないと問題行動が起きるということになりますが、各階層の欲求を満たすためには飼い主の協力が必要です。
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①生命の安全、②飲食、③健康管理、④睡眠と休息については、日頃から生活を共にしていれば当然できていることで、これらの階層欲求を満たしていないのは特に問題があります。
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⑤運動は、毎日の散歩やドッグスポーツなどの全身を使った運動によって欲求が満たされます。
⑥探索活動は、散歩などで匂い嗅ぎをしたり、新しい場所を訪れて探索するなどで欲求が満たされます。
⑦縄張り活動は、散歩時のマーキングなどで欲求が満たされます。
こうしてみると、毎日の散歩というのが犬の欲求を満たす上で、いかに大切かが分かりますね。
第二章 犬が好きなことを知る
<犬が嫌うものを知る>
犬が嫌うものについて、いくつか箇条書きで説明していただきました。
これらは前項の欲求階層とも関連していて、例えば「大きな物音、大きな声、急に近づく、素早い動き」などは、欲求階層の「①生命の安全」を脅かすものと捉えることができます。
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その他は、第一章でも紹介されていた「正面から覆いかぶさる、長い留守番(孤独)、行動の自由を奪う」なども説明していただきました。
第二章 犬が好きなことを知る
<シチュエーションによっても変わる好き嫌い>
犬が置かれている状況(シチュエーション)によっても、好き嫌いが変わることについて説明していただきました。
一つ目は、高い声や素早い動き。これは犬が興奮している時はプラスに働きますが、リラックス時だと犬にとっては迷惑な話ということになります。
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二つ目は、オヤツに対する反応。リラックス時は食べますが、何かに怖がっている時は食べなかったりします。これも欲求階層の「①生命の安全」が脅かされているので、その上の階層の「②飲食」の行動が起きないということです。
第三章 愛犬のヒーローになる!
<犬先進国と日本の飼い主との違い>
犬先進国(ヨーロッパ)と日本の飼い主の違いについて説明していただきました。
まず犬の迎え方の違い。日本では多くがペットショップで購入しますが、ヨーロッパでは優秀なブリーダーから子犬を譲り受けます。その際も、生活状況や経済状況など譲り受ける人の資格も問われます。
ドイツでは犬の保護に関する法律が定められていて、一部の犬種については飼育免許(ライセンス)が義務付けられているようです。
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ヨーロッパでは、初めて犬を飼う人はドッグトレーナーを顧問につけることも多いそうです。日本では獣医師に聞いたり、雑誌やネットの情報に頼ることが多いと思いますので、これは大きな違いだと感じました。
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また、日本の飼い主と大きく違うと感じたのは、飼い主が動物行動学や心理学の知識を持つ努力をしているということ。動物福祉についても理解を深めているそうで、感情論だけの動物愛護ではなく、科学に基づく動物福祉という観点で犬と向き合っているという点が大きく違うと感じました。
第三章 愛犬のヒーローになる!
<犬の願いを叶える>
犬の願いを叶えることは、飼い主への信頼へと繋がるという話。
怖がっている時に回避したり適切な距離を取る、コミュニケーションをとる、本能を満足させる、といったことが、犬に安全の確保、安心感、快感、幸福感をもたらし、それが飼い主への信頼へと繋がっていくとのことです。
第三章 愛犬のヒーローになる!
<おねだりへの対処法>
我が家の食事中にもよくありますが、おねだりへの対処法について説明していただきました。
まずは学問的なお話。行動というのは結果に随伴する、これを「行動随伴性」といいますが、ある行動を取った直後にもたらされる結果によって、その後の同じ行動の頻度や持続時間などが変化していくため、適切に介入することで問題行動に対しても行動を変容させることができるとのことです。
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例えば、飼い主の関心を引こうと吠えている場合、吠えることで関心が引けると、吠える行動が強化されてしまいます。そのため、問題行動を別の行動に置き換えて強化するようにします。
この例だと、吠えたらその場から立ち去り、吠え止んだ直後に振り返って関心を向けるようにし、吠えない行動を引き出して強化することで、問題行動をなくすようにしていきます。
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そして、大切なのは一貫性をもって繰り返し、望ましい行動が定着するように継続することが大切だそうです。
第三章 愛犬のヒーローになる!
<犬の気持ちを読み取り、不安から救う>
本セミナーの最後は、犬の気持ちを読み取り、不安から救うには、「IMT:犬の目線に立てる人」になりましょうというお話。
そのためには、まず犬のボディランゲージを勉強して、知識を深めること。犬の気持ちを読み取るだけでなく、犬に対して気持ちを伝えることにも役立ちます。
そして、犬を長時間、長期間に渡って不安に晒さないこと。飼い主とともに暮らすことが安心・安全であることを、常に感じられる環境に置くことが大切なのだと思いました。
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飼い主と犬との関係性は、主従関係ではなく協調関係であることが大切。犬はヒトの奴隷ではなく、有史以前からヒトと犬は共生し、お互いに足りない部分を補い合いながら協調して暮らしてきたわけで、その関係性はこれからも継続していかなければならないと感じました。
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とても長くなりましたが、今回のセミナーのまとめは以上です。
犬の幼稚園&サロン るー。(吉川美南校)
住所 埼玉県吉川市美南5-29-11
電話番号 048-973-7100
受付時間 9:00~18:00
定休日 毎週火曜日
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